―その一皿が、今日も笑顔をくれるー
我が家には、犬が2頭、猫が5頭。人間よりも動物の方が多いお家です。家では犬や猫たちと戯れ、職場ではペットの病気や食事についてご相談を受ける仕事をしています。もともと動物好きではあったものの、まさかここまで深く関わることになるとは思ってもいませんでした。
今回は、私がなぜペットの「幸せなごはん」にこだわるようになったのか、そのきっかけをお話ししたいと思います。


はじまりは、ひとつの違和感から
こたろうと出会ったのは、14年前の秋のことでした。 保護団体のスタッフさんの腕に抱かれていた小さな犬と目が合った瞬間、ふっと心があたたかくなったのを、今でも覚えています。実家では犬との暮らしに慣れていたものの、すべてを自分で選び、自分の責任で育てるのは初めての経験でした。もちろん、ドッグフードを選ぶのも初めてのこと。 右も左も分からず、保護団体から勧められたフードを迷わず購入し、「安心なごはんですからね」という言葉を信じて、毎日お皿に入れ続けました。けれど、こたろうはたびたびお腹を壊しました。月に一度は繰り返す下痢。病院に行っても異常は見つからず、獣医さんも首をかしげるばかり。
そんなある日、ペットフードの袋を開けた瞬間、鼻をつくにおいと手に感じたべたつき――それまで信じていた「当たり前」が、少しずつほころび始めた瞬間でした。
「これって、本当に体にいいのかな?」
そう思ったとき、初めて“こたろうの食事”と向き合うようになったのです。ペットはドライフードを食べるもの。人間の食べ物は与えてはいけない。そう思っていたけれど、本当にそうなのかな? その問いが、心の中の小さなスイッチを押したようでした。
ふと重なる、遠い日のごはんの記憶
そんな風に、こたろうのごはんについて悩み始めたとき、ふと思い出したのが、子どもの頃に一緒に暮らしていた紀州犬のタローのことでした。力強く、庭の犬舎で過ごす姿はどこか威厳がありました。彼のごはんは、10kg入りの大きな袋に入ったドッグフード。当時の私は、それがごく当たり前のものだと信じて疑いませんでした。原材料がどんなもので、どう作られたのか――そんなことを考えることはなく、ただ「ごはんをあげる」という行為に満足していたのです。
大人になった今、ふと思うのです。――あのごはんを、タローは本当に楽しみにしていたのだろうか?あのごはんは、タローの健康な体を作ってくれていたのだろうか?私たちが「ちゃんと食べさせている」と思っていたその一皿は、果たして彼にとって、安全で、心からほっとできるものだったのか。もっと他の選択肢があったのではないかと、胸がざわつくような思いがよぎりました。


ナチュラルハーベストとの出会い
タローのことを思い出し、「このままではいけない」という思いを抱えながらも、「どこで何を買えばいいのか分からない」と、迷いの中で月日が流れていきました。
そんな時、お散歩仲間から紹介されたのが、自宅を改装して作られた小さなペットショップでした。 ウッドデッキには温もりがあり、安全なごはんやおやつ、かわいいグッズが並んでいます。何より、オーナーさんがとても親身になって話を聞いてくれたことが、私の中で大きな支えになりました。初めて知る「安全なごはん」。 さっそく勧められたフードを開封してみると――「臭くない!」 嫌なにおいがせず、手触りもさらっとしていて、これまでのものとはまるで違いました。これが、ナチュラルハーベストのフードとの出会いでした。日本のワンちゃんのために作られたフードって?他の会社とはどう違うの?厚みのあるカタログをいただき、夢中で読み込んだことをよく覚えています。ドライフードだけでなく、レトルトやサプリメントまで多様な選択肢が紹介されていて、驚くばかりでした。
こたろうは、慎重にフードの切り替えを進めたところ、お腹の調子もぐんと安定するように。 「ごはんを選ぶだけで、こんなにも変わるんだ」 その小さな発見が、私たちの日常を大きく変えてくれたのです。
「その子にとっての幸せ」を考える日々
あれから10年以上が経ち、今では2代目のとらじろう、3代目のたいぞうが我が家で元気に暮らしています。 これまでの経験を活かし、彼らの「幸せなごはん」について、安全性と心地よさの両方から考えるようになりました。まず、体に入るものとしての安心感は欠かせません。原材料が明確で、不要な添加物が含まれていないこと。信頼できる製造過程を経ていること。それらは、飼い主としての責任を果たすために大切な要素だと思っています。一方で、どんなに安全でも、それだけでは“幸せなごはん”とは言い切れません。 そんな思いから、時間があるときには鶏むね肉を茹でてみたり、かぼちゃや豆腐をトッピングしてみたり、ほんの少しの手間でごはんの時間をもっと楽しく、温かいものにしています。
忙しい日は、「今日はドライフードだけでごめんね」と思うこともあります。 けれど、食卓に向かう彼らの嬉しそうな表情に、「この一皿でよかったんだ」とホッとするのです。
「今日のその一皿、うちの子はどう思ってるかな?」――そう問いかけながら過ごす毎日が、私にとっても幸せな時間です。


幸せなごはんを、たくさんの子へ
犬が好き、犬と暮らしたいという思いから始まった私の生活は、やがて彼らの健康や毎日の食事に深く関わるようになりました。私のうちの子たちには、私が「幸せなごはん」を届けてあげることができます。でも、同じように悩んでいる人、かつての私のように「何を選べばいいのか分からない」と迷っている飼い主さんも、きっとたくさんいるはずです。そんな方々の力になりたい、ワンちゃんと飼い主さんが「幸せなごはん」に出会えるお手伝いがしたい――そう願いながら、今私はこの会社で働いています。
お腹の弱い子にはどんなごはんがいい?シニア犬におすすめの食事は?噛む力が弱くなった子でも食べられるフードは?日々、お客様からのご相談に向き合いながら、より多くのワンちゃんに幸せなごはんが届くよう、商品開発にも携わっています。
時代とともに、ペットの食事に対する考え方も大きく進化してきました。栄養バランス、安全性、アレルギー対応、嗜好性…選択肢はどんどん広がっています。けれど、何より大切なのは、「その子にとっての幸せなごはんとは何か」を考えること。ごはんは、ただ生きるためのものではなく、「しあわせを感じる時間」でもあってほしい。それを作り、届けることが、私たちバンガードができる愛情のかたち。
大切な子たちが残してくれた記憶の中で、私は今も学び続けています。 これからも、どんな子に対してもその気持ちに耳を澄ませながら、心のこもったごはんを届けていきたい――そう、強く願っています。